初めて免許を取ろうとすると、多くの疑問が浮かぶ事でしょう。中でも「免許を取りたいけれど、正直ATとMTの違いがよく分からない」という方は多いです。 AT免許は「オートマ」、MTは「マニュアル」と呼ばれるのですが、具体的にはどういった違いがあるのでしょうか?

今回はATとMTの操作や料金の違いや、難易度の違いなどをご説明します。

AT車・MT車の違い

AT:オートマチックトランスミッション(Automatic Ttransmission)の頭文字
MT:マニュアルトランスミッション(Manual Transmission)の頭文字

この章では、AT車とMT車の操作の違いなどをまとめていきます。どちらか悩んだ場合は、操作の簡単さを基準にして選択するのも良いかもしれませんね。

トランスミッションとは変速装置

例えば、自転車を思い出してみましょう。走り出すときは、力がいるので軽く回せるギアに。スピードが出ると、重いけど早く走れるギアにシフトアップ。止まったら、また軽いギアに戻します。
同じように、自動車もスピードや状況に合わせてギアを組み替えて走ります。これを、自分の手足で行うのがMT車。車が自動でやってくれるのがAT車です。

AT車の特徴

  • 自動でギアチェンジ(シフトアップ・シフトダウン)
  • クラッチ操作が不要
  • AT車のみ運転可能(MT車の運転不可)
  • 日本では普通車の大半がAT

AT車は、1速~4速のギア(まれに7速、8速もある)が用意されています。オートマチック(自動的)という名前の通り、状況に合わせてクラッチ操作なども自動でしてくれるため、難しい操作を必要としない車のことです。 そのため、AT車はアクセルペダルとブレーキペダルのみで、MT車にあるクラッチペダルが付いていません。
最近は、会社の社用車もAT車がほとんどで、就職の際も「AT車不可」といった募集要項を見ることはほとんどありません。 現在は、発売される車の98%程度がAT車と言われます。日本車は、ほぼAT車となりつつありますので、仕事や趣味でMT車に乗る方以外はAT免許でも困らないでしょう。

MT車の特徴

  • 変速は手動
  • ギアチェンジやクラッチなどの操作が必要
  • AT車・MT車両方を運転可能

ギアチェンジ・クラッチ操作を、自分の手足で行う車です。

ギアチェンジする時は、

①クラッチペダルを踏む

②シフトレバーを動かす

③クラッチペダルをゆっくりと戻す

という動きになります。 ギアの組み換えをする時に、クラッチを踏むとエンジンから伝わる動力を一旦切り離すことができます。シフトレバーでギアを組み換え、またクラッチをつなぐのがMT車の操作です。 左足と左手を使わなくてはならないため、AT車より難しくなります。また、クラッチのつなぎ方次第でエンスト(エンジンストップ)が起きます。

主にクラッチ操作が必要なのは以下の4動作です。

  • 発進
  • 低速走行
  • ギアチェンジ
  • ブレーキ・減速

MT車は、1速から5速(あるいは6速)まで用意されており、手動で速度を変えます。1速は遅いですが、進む力(出力)が強く、逆に、5速は早いですが出力が弱いため高速走行向きです。そのため、坂道発進の時は力が必要なためギアを1速に落とし、その後に速度出たら変速して速度を上げます。また、高速道路では速度が高いため、本線合流後は高めの5速・6速に上げたまま走り続けることが多いです。加速を強くしたい時は、力のある4速・3速に落とします。
このように、MT車は状況に合わせてクラッチ操作やギアチェンジをしながら運転します。 AT車で自動化されている部分をコントロールできるため、より車の挙動や本来の「操縦してる」感覚が分かるのがMT車です。
その分操作が煩雑になり、失敗すると「坂道発進の時に、アクセルの踏み込みが足りずにエンスト(エンジンストップ)を起こした」といった事態に陥ります。 焦りやすい方は、操作の少ないAT車の方が落ち着いて運転できるかもしれませんね。
今では、発売される車のほとんどがAT車ですが、企業の社用車が「MT限定」という場合も稀にあります。また、外車や大型車・トラックなどもMT限定の場合がありますので、乗りたい車に合わせて免許を取るのが大切です。

MT免許を取得した方の声

「坂道発進が苦手で、補習を受けた…。免許が取れて本当に良かった。」

「クラッチ操作にあわててしまう。所内コースで慣れてもいざ路上を走ると怖かった。」

といった感想が出ています。やはり、クラッチ操作やギアチェンジに苦戦した人が多いようです。

クラッチってどんなもの?という方はYouTubeに動画がアップされていますので、見るとイメージが湧きやすいと思います。 

『MTの運転テクニック!発進時のシフトチェンジ』
クラッチの仕組みとは?

免許合宿と通学免許の費用相場

前章では、AT車とMT車の違いをお伝えしました。では、教習料金はどの様に違うのでしょうか?この章では、AT免許とMT免許の費用をまとめます。

費用はMT車の方が高い

MT免許は、AT限定と比べて教習が3時限長くなります。そのため、MTの方が取得費用が高めです。

  • <AT免許の費用>

合宿免許は20万円~30万円、通学免許は25万円~35万円です。

  • <MT免許の費用>

合宿免許は22万円~32万円、通学免許は27万円~37万円です。

免許を取る時期により、費用が変わります。人気のある夏休みなどは、AT免許も費用が高いですが、 MT車がAT車の料金より22,000円~33,000円ほど費用が高いのは一年を通じて変わりません。どちらも、仮免許学科試験受験手数料(1回1,700円)や仮免許証交付手数料(1,150円)などが別途必要です。 また、補習や延長料金は1コマ5,000円~6,000円ほどです。うっかり講習を受け忘れて補習をしてもらうことになると、追加料金が発生するので注意しましょう。「MT車よりAT車の方が安いから。」といってAT免許を選んだのに、補習などで結局費用がMT車と変わらなかった、という事態に陥ってはもったいないです。

AT・MTの免許取得の難易度の違い

さて、AT免許とMT免許の取得の難易度はどれくらい違いがあるのでしょうか?この章では、時間や操作などの観点からAT車とMT車を比較してみました。 合宿免許でも通学免許でも、免許取得のための受講数は同じです。

AT免許 学科26+技能31 合計57、最短14日
MT免許 学科26+技能34 合計60、最短16日 ※1コマ(1時限)50分

時間的には、AT免許の方が3コマ分少ないので、MT免許より短い期間で取れます。

AT・MTの操作の難易度の違い

一般的には、以下の様に言われます。

・AT車:ギアチェンジやクラッチ操作がない分、運転がしやすい。
・MT車:ATよりも授業が3コマ分多く、クラッチやギアチェンジの実技がありやや難しい。

料金もATの方が安いですし、やはりAT免許の方が難易度は低いと言えます。

AT・MTの免許取得率

警察庁のWebサイトに掲載されている運転免許統計『平成30年(2018年)中の運転免許の試験実施状況』によると、普通免許の受験者数が1,612,836人、そのうちAT限定が1,061,905人、MT車は550,931人です。やはりAT車を希望する人の方が多いですね。 ちなみに、合格者は1,155,475人でそのうちAT合格者は740,097人、合格率は71.6%、MT合格者は415,378人で合格率は69.7%です。
受験者数は大きく違いますが、合格率はあまり変わりません。MT免許の取得はAT車よりも難しいですが、MT車もAT車と同じくらい合格者は出ていますので、自信持ってチャレンジすると良いでしょう。

AT車からMT車への変更(限定解除)

「AT車に乗っていたけれど、やっぱりMT車も乗れるようになりたい。」という場合はAT車からMT車の免許に切り替えるができます。

~AT限定解除の仕方は2種類~

・運転免許センターでの限定解除
・教習所での限定解除

運転免許センターで、直接「普通免許限定解除審査」だけ受ける場合はかなり審査が厳しいため、よっぽどMT車に慣れている方でないと難しいでしょう。 そのため、通常は教習所で教習と審査を受けた方が無難です。

~教習所での限定解除~

限定解除は所内教習のみ4時限で、学科もありません。 AT限定では習わなかった、MT車の操作の基本や発進・停止、坂道発進、S字・クランク、縦列駐車・方向転換などをこなすことになります。講習を教習所で受け、みきわめに合格すると「技能審査合格証明書」がもらえます。これを運転免許センターに持参すると、晴れて限定解除終了です。

教習所で講習・審査を受けるのに必要な日数は3~5日間ほど。料金は5万円~7万円くらいかかります。AT限定とMT免許の取得費用は2万~3万円しか違いませんので、AT限定からMT車に切り替えるより、最初からMT免許を取った方がお得です。

AT限定・MT免許の違い まとめ

  • 日本国内の普通車はAT車が多い。
  • AT車は変速などが自動。運転免許の費用は安め。免許が比較的取りやすい。
  • MT車は変速などが手動。運転免許の費用はATよりは高い。免許は取りにくい。
  • AT免許からMT免許に切り替えができる。
  • MT免許を取る人よりも、AT免許を取る人の方が多い。

結論として、運転がMT免許に比べて簡単で、時限数の少ないAT免許の方が取りやすいため、「なるべく早く、安く、簡単に免許が取りたい。」方にはAT免許がおすすめです。仕事などの事情や、こだわりがある方はMT車をおすすめします。

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