更新手続きが遅れ、免許をうっかり失効させてしまうことがあります。その場合は再取得となりますが、免許が失効した理由によっては運転免許試験の免除などがあるのを知っていますか? 病気やケガなど、生きていると色々なことがあります。免許失効の際に、どう動いたら良いか知っておくと安心です。

そこで、今回は免許失効の基礎知識やその際の手続き方法などをまとめました。参考になれば幸いです。

運転免許失効の基礎知識

運転免許は、どういった時に失効になるのでしょうか?この章では、免許失効になる条件などをご紹介します。

運転免許の更新期限は?

日本では、運転免許の更新期限は誕生日の前後1ヶ月(計2ヶ月)です。その有効期限内に更新手続きをすれば、問題ありません。

免許の有効期限内に更新手続きをしなかった場合

更新の年の誕生日後1カ月の有効期限を過ぎると失効となり、車を運転することができなくなります。 有効期限から6ヶ月以内であれば、運転免許センターで適性検査を受けて再発行することが可能です。有効期限から6ヶ月以上経過すると、正式な失効となります。

交通違反などの点数による免許取消

交通違反などで免許停止(免停)や免許取消になった場合、刑事処分と行政処分を受けることになります。交通違反の内容によって処分の流れが違うのが特徴です。
両処分は別々で、それぞれ独立して実施されるため、刑事処分で無罪となっても、行政処分では免許停止・取消になる場合もあります。 免許停止の場合は、30日から180日の間、免許を停止する処分で、停止期間が終われば申請なしに再び使えるようになります。しかし、免許取消の場合は、再取得どころか免許を取り直さなくてはなりません。

失効理由により異なる手続き

免許の更新手続きが期限内にできなかった理由によって、その後の手続きが変わります。

うっかり更新期間に更新を忘れた場合

「どうしても仕事が忙しくて、更新期間中に行けなかった。」「本当にうっかりしていただけなのに…。」というように、悪意が無い方の場合です。
この場合、有効期限を過ぎてから6ヶ月以内なら、仮免許試験と本免許試験の学科や技能試験が免除となり、視力や運動能力の審査といった「適性試験」と講習のみで免許証を再交付してもらえます。こういった免除対象となる失効を「特定失効」と呼びます。
うっかり失効の場合、有効期限から6ヶ月以上経過していなければ正式な失効とはなりませんが、この6か月の間にスピード違反や故意の事故などで検挙されると「無免許運転扱い」となります。 民間の保険会社によっては、保険適用外とする場合もあるので注意が必要です。
ちなみに、6か月を過ぎると本免許試験の免除がなくなり、1年を過ぎると仮免許試験の免除もなくなるため、全部受けることとなります。時間もお金も無駄になりますから、免許の更新は早めに行きましょう。

ケガや病気で更新できない場合(やむを得ない理由)

「ケガや病気で長期入院していた。」「海外で拘束され、戻れなかった。」といった、やむを得ない事情がある場合は、免除となる範囲が広がります。
やむを得ない事情が落ち着いてから、1ヶ月以内(自動車免許失効後3年以内)に再取得の申請をします。申請が認められれば、学科・技能試験が全て免除され、講習と適性検査のみになります。 うっかり失効の場合は1年を過ぎたら学科などすべて受けなくてはならないのに対し、こちらは寛大な措置です。 各都道府県にある運転免許試験場が窓口となっています。上記以外でも、「それは仕方がない。」という理由であれば受理されますので、一度相談してみましょう。

紛失や盗難でいくら探しても見つからない場合

紛失や盗難でなくした場合、警察に紛失届(遺失届)を提出します。市町村によっては、再取得の際に紛失届の受理番号が必要な場合もあります。
紛失届を出したおかげで、再取得の前に帰ってくることもあります。悪用も防げますので、必ず紛失の届け出をしましょう。 紛失や盗難の場合は、運転免許センターで再取得の手続きを行えば、即日免許証を再交付してもらうことが可能です。 しかし、紛失中に運転をすると免許不携帯で交通違反となります。面倒かとは思いますが、電車・バス・タクシーなどの公共交通機関で再取得に行きましょう。

汚損・破損・ICチップが読込めなくなった場合

「あまりに汚れて免許証の文字が見えない。」「うっかり破損してしまった。」「なぜかICチップが読込めなくなった。」といった場合もあります。 紛失・盗難と同様に、運転免許センターで再取得の手続きをすれば、免許証を当日に再交付してもらえます。破損していても、なるべく欠片を集めて持って行きましょう。

再取得の手続きに必要なもの

自動車免許の再取得には書類などが色々と必要です。この章では、再取得の際に必要な物などをまとめました。

免許証を発行してもらえる場所

自動車免許の再取得は、主に以下の3ヵ所で出来ます。

  • 運転免許試験場
  • 運転免許センター
  • 警察署の運転免許課など

この中では運転免許センターが一番早いと言われています。

再取得の際に必要なもの

再取得時に提出すべきものは以下のものです。

  • 申請書(運転免許試験場に自動車免許再交付申請書が用意されています)
  • 写真1枚
  • 免許証遺失・盗難顛末書(警察署や交番で発行)
  • 印鑑
  • 身分を証明できるもの
  • 申立書(自宅などで紛失した場合は運転免許試験場で申立書を記入)
  • 破損や汚れで使えなくなった免許証

身分を証明できるもの

  • パスポート
  • 住民基本台帳カード
  • 写真付きの個人番号カード(通知カードは不可)
  • 在留カード
  • 写真付き身体障害者手帳

上記の物なら1つでOKです。しかし、以下の物しか用意できない場合は、2つ持参する必要があります。

  • 保険証
  • 住民票
  • クレジットカード
  • 年金手帳
  • 預金通帳(キャッシュカードでも可)
  • 納税通知書
  • 公共料金請求書(電気、水道、ガスなど)

また、免許の再取得の際に本籍や氏名などを変更する場合は『本籍(国籍)が記載された住民票の写し(1通)』も提出します。
70歳以上の方は免許の更新には「高齢者講習終了証明書」が必要です。失効中に70歳になった方は、「高齢者講習終了証明書」の提出も必要でしょう。
再交付の際には、4桁数字2組(合計8桁)の暗証番号が必要です。簡単な数字の羅列(1111や1234など)では使用許可がもらえませんので、あらかじめ暗証番号を決めておくと手続きがスムーズです。
写真は、撮影後6ヵ月以内の写真。縦3×横2.4㎝、無帽、カラーコンタクト不可、無背景……などの条件が数多くあります。
自動車免許用の写真が撮れる写真館で撮ってもらうのが一番ですが、自分で撮る場合は、しっかりと確認してから撮りましょう。

【参考】福岡県警察「運転免許申請用写真の基準」

福岡県警察「運転免許申請用写真の基準」

免許の有効期限と再取得方法 まとめ

  • 運転免許の更新期限は誕生日の前後1ヶ月
  • 有効期限から6ヶ月以上経過すると正式な失効となる
  • 交通違反などで免許停止や免許取り消しになったら刑事処分と行政処分を受ける
  • うっかりの場合、有効期限を過ぎてから6ヶ月以内なら運転免許試験の学科や技能試験が免除
  • やむを得ない事情から1ヶ月以内、自動車免許失効後3年以内に、再取得の申請をし、認められれば学科・技能試験が免除
  • 紛失や盗難の場合は警察に紛失届(遺失届)を提出!運転免許センターなどで再取得の手続きをすれば、即日自動車免許を再交付してもらえる
  • 汚損・破損・ICチップが読み込めなくなった場合は、自動車免許が破損していても持って行くべし。運転免許試験場や運転免許センターで再取得の手続きをすれば、自動車免許を即日再交付してもらえる
  • 再取得には申請書、免許証遺失・盗難てん末書、印鑑、身分証明書、写真1枚などが必要

時間が経てばたつほど、再取得が不利になることが多いです。早めの更新を心がけ、うっかり失効後も早めに再取得する事を心掛けると良いでしょう。